2024年4月の相続登記の義務化の前に、2023年4月27日から相続土地国庫帰属制度がはじまります。これは簡単に述べると、相続した土地が不要である場合に国に所有権を渡すことができる制度です。ただし、どんな土地も対象となっているわけではなく、根拠法令で定められている要件を満たしていて、法務大臣からの承認が得られた場合に限り所有権を渡すことができます。相続土地国庫帰属制度の創設には、相続登記の義務化によって生じる問題が関係しています。

相続登記が義務化されると、相続によって土地を取得した相続人は、たとえ物件を手放すつもりであったとしても、いったんは所有権に関する登記を行わなければなりません。土地を所有するようになると、手間やお金をかけて維持管理をする必要が生じ、望まぬ形で土地を取得した人にとっては大きな負担となります。不動産の維持管理の負担の増大は、管理不全を招く要因です。このような問題に対応するために民法や不動産登記法の改正案とともに準備されたのが、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律です。

相続土地国庫帰属制度が適用される土地は、相続か遺贈によって取得されたもののみで、数人で共有している場合は全員が共同で申請しなければなりません。申請後は要件を満たすかどうかの審査が行われ、承認された後に負担金を納入すれば、土地の所有権が国に移ります。負担金は10年分の土地管理費用に相当する金額で、非常に高額となっています。この制度を利用して国に所有権を渡せる可能性がある土地の要件は、建物が無くて抵当権も設定されておらず、除去作業が必要な一切無いことや、訴訟などの争いを抱えていないことなどです。

承認のハードルは高く、要件をクリアできる土地はあまり多くないと考えられています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です