複数の相続人がいる中で、遺産の中に不動産が含まれていた場合、それを相続するにはいくつもやり方があります。土地だけならばそれぞれの持ち分に従って単純に分割するのが最も分かりやすい方法ではありますが、そこに住宅やアパートなどが建っていればそうも行きません。全員で共有する、特定の誰かが単独で相続する代わりに他の人には相応の現金を支払うなど、協議したうえで承継の方法を決める必要があります。また、協議が整ったとしても、その結果に基づいて登記簿をきちんと整備しておかないと、後々でトラブルの原因となってしまいます。

たとえば共有することになった不動産のうち、特定の相続人が自分の持ち分だけを第三者に売り渡したりした場合などには、登記されていなければ売却された持ち分割合が正確かどうかについて争いが生じるおそれがあります。こうしたことから、不動産を相続した時はできるだけすみやかに登記を申請することが重要です。所有者の名義を被相続人から相続人に変更することを相続登記といいますが、この相続登記を正確に行っておけば、相続人同士のトラブルを避けられるだけでなく、第三者への対抗要件も備えることができます。とはいえ、相続登記の手続きはかなり複雑なので、正確を期すには司法書士などの専門家に依頼するのが賢明です。

依頼するには費用が必要となりますが、不動産そのものが数百万、数千万円という高い価値を持つものですから、その価値を保全するのにそれなりの負担は必要です。具体的な費用の額は物件の評価額や相続人の数などによって変動しますが、ごく一般的なレベルの個人住宅を2~3人で相続する場合、司法書士へ相続登記を依頼した場合の費用総額は20~25万円程度になります。

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