遺産相続では、それまでいくら仲の良かった家族でもこれを巡ってトラブルとなるケースが多くあり、最終的には家庭裁判所のお世話になったという話も少なくありません。その為、相続トラブルを回避する手段として現在では生前に遺書を作成し、その中で遺産相続の方法や相続分など指定される方も多くなっています。そして、遺言は、遺言者の明確な最終意思を確認し、これに法的効果を与えようとする制度であることからその方式に従い正しく作成することで、死後その効果を有効に発生させることができます。また、遺言では財産処分の自由を認め、人の最終意思として尊重されるべきものであることから他人の意思による制約を受けず、またその撤回も自由に認められていますので自分だけで行えます。

これに対し、相続は被相続人の財産法上の地位をその死後特定の者に承継させる制度で、承継させる効果は遺言者の最終意思の他、法律によっても与えられます。これは遺産相続に於いて、被相続人の財産処分の自由を認める一方で、被相続人が死亡したことで経済的に脅かされる相続人の生活保障も行う必要から、その調和を図る為法律により効果を与える事項もあります。裏を返せば、遺言によってもなしえない行為があり、例えば相続人の指定や遺留分の指定などが挙げられ、実は遺言可能な事項は、相続分や遺産分割方法の指定又は指定の委託、後見人や遺言執行者の指定などある程度限定されています。これらのことから、遺産相続を円滑に行う為には、遺言の作成はかなり有効な手段ではありますが、更に確かなものにする為に生前に贈与するなどで財産処分を行うや困った場合には専門家に相談してみるなどすると良いでしょう。

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